home>シスターのお薦め>お薦めシネマ> 湾生回家

お薦めシネマ

バックナンバー

湾生回家

2016年11月

WANSEI BACK HOME

 湾生回家

  • 監督:ホァン・ミンチェン
  • ナレーター:クー・イーチェン
  • 出演:冨永勝、家倉多恵子、清水一也、松本洽盛、中村信子
  • 配給:太秦

2015年 台湾映画 1時間51分

  • 台湾アカデミー賞「金馬奨」最優秀ドキュメンタリー作品ノミネート
  • 大阪アジアン映画祭2016オープニング上映 観客賞受賞

1895年、下関条約によって台湾の日本統治が始まり、台湾の魅力を語られて移住した人々が大勢いました。1945年まで続いた50年の日本統治の間に、台湾で生まれた人々の数は20万人におよびます。しかし、「湾生」と呼ばれた彼らは、日本の敗戦によって、日本への帰国を命じられました。生涯台湾で暮らすと思っていた彼らにとって、故郷から引き離されてやってきた祖国日本は異国の地と同じでした。ドキュメンタリー映画「湾生回家」は、湾生の故郷への思いと台湾への里帰りの様子を追った作品です。

湾生回家
(C) 田澤文化有限公司


湾生回家
(C) 田澤文化有限公司


母一人で育てることができず、台湾人の夫婦に養子に出され、夫婦の息子と結婚した後に自分の素性を知り、日本に帰った生母の居場所を探し続けている人。強制的に帰国されたときの辛さの中、港を出るときに水平線に台湾が消えるまで弟と二人で歌った「ふるさと」。母親が台湾で亡くなり、母一人で台湾の墓に残すのは苦しく、台湾に残って台湾人と結婚した人。台湾を植民地とは思わず、「ここも日本だ」と思って生き、日本に帰ってから差別を受けた人。15歳まで台湾で暮らし、忘れられない幼少期時代のことが夢に出てくる人。古い友人を捜して何度も台湾を訪れ、やっと探し当てたがすでに友は亡くなっており、悲しみ浸る人。それぞれ置かれた状況は違いますが、台湾を思う気持ちは同じです。

台湾が日本の支配にあったことは知っていましたが、湾生たちの生き様を目の当たりにしながら、知らなかった世界に触れた思いがしました。日本の歴史を知る上で、貴重な記録です。


▲ページのトップへ