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お薦めシネマ
きらめく拍手の音
2017年 6月
耳が聴こえない両親の生活を、娘であるボラ監督が撮影しました。明るくくったくにない両親は、ごく普通にこどもたちを育てました。しかし、音のない世界での生活と、音のある世界を知っているボラ監督は、小さいころ葛藤の日々を過ごしていました。しかし、大人になった今、このふたつの世界が、豊かさを与えてくれるものであることを知ります。
サングクは、教会の感謝祭に行ったとき、ギョンヒに一目惚れし、寝込んでしまうほど彼女のことを思い続けた。祖父は健常者との結婚を望んでいましたが、サングクはギョンヒのことが忘れられずにいた。まもなくふたりは結婚し、姉ボラと弟グァンヒというふたりのこどもをさずかった。 赤ん坊の泣き声が聞こえないので、夜の授乳が大変だった。不況でサングクの勤め先が倒産すると、ふたりは露天商をはじめが。こどもたちを祖母に預け、あちこちへと行った。こどもたちが学校に行くようになると、学校でのいろいろな問題がでてきた。学校でのやりとりをはじめ、銀行とのやりとりなど、まだこどもであったボラ監督が、通訳として呼ばれた。 両親が障がいを持っているということで、特別な目で見られるのがいやだった。何かを言われないように、いい子になっていった。ボラ監督は、はやく大人になりたいと思った。
こどもたちは大変なこともあっただろう。しかしギョンヒはいつも明るく、とらわれることなく自由に暮らしている。夫婦の間では、サングクが中心であり、サングクは彼女の尻に敷かれているような感じだが、そこには彼女への愛があふれていることがわかる。とてつもないハンディを持っている家族だが、それに押しつぶされることない家族の姿は、幸せは、自分たちの生き方についてくるもんだと教えてくれる。ボラ監督は、両親の姿をカメラにのこしていくということで、人間の深いところを見つめている。