お薦めシネマ
修道士は沈黙する
2018年3月
THE CONFESSIONS
- 監督・原案・脚本:ロベルト・アンドー
- 原案・脚本:アンジェロ・パスクィーニ
- 音楽:ニコラ・ピオヴァーニ
- 出演:トニ・セルヴィッロ、ダニエル・オートゥイユ、コニー・ニールセン、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、マリ=ジョゼ・クローズ、ランペール・ウィルソン、モーリッツ・ブライブトロイ、伊川東吾
- 配給:ミモザフィルムズ
2017年 日本映画 1時間48分
- ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞2017主演男優賞、脚本賞、プロデューサー賞ノミネート
- ゴールデンCIAK賞2016美術賞ノミネート
- イタリア映画記者協会賞2016最優秀撮影賞受賞、監督賞、音楽賞ノミネート
- カルロヴィ・ヴァリ国際映画賞2016エキュメニカル審査員賞受賞、作品賞ノミネート
物語
バルト海に面したドイツのリゾート地。この地で開催されるG8のために、8か国の財務大臣や関係者が会場となる高級ホテルに集まってきた。今回の会議は、世界の市場に大きな影響を与えるとうわさされていた。
会議の前夜、ホテルでは、国際通貨基金(IMO)の専務理事ダニエル・ロシェ専務理事(ダニエル・オートゥイユ)が自分の誕生日の夕食会を開こうと、G8参加の財務大臣の他に、世界的ミュージシャンのマイケル、絵本作家で有名なクレア・セス(コニー・ニールセン)を招いていた。そしてさらにもうひとりの男性が招かれていた。それは、この場にはまったくふさわしくない、白い修道服を着たカトリックの司祭だった。サルス神父(トニ・セルヴィッロ)は、もっとも厳しい戒律を持つカルトジオ修道会に属していた。招かれた人々は、彼がいったい何のためのここに来たのか不思議に思っていた。クレアは、となりの部屋がサルス神父と知ると、鍵穴からそっとその部屋をのぞき見してみた。
((C) 2015 BiBi Film-barbary Films
なごやかな夕食が終わると、ロシェは告解をしたいとサルス神父を自室に招いた。その翌朝、ロシェが自室で死んでいるのが見つかった。彼はビニール袋を頭にかぶっており、窒息死だった。
ロシェのかぶっていたビニール袋が、サルス神父のICコーダーを入れていたものであり、そのICコーダーをサルス神父がなくしたということから、サルス神父が疑われはじめた。まわりの人々は、ロシェが最後に会ったのがサルス神父だったことから、ロシェが神父に何を話したのか、告解の内容を知ろうとした。しかしサルス神父は、告解の内容を口外してはならないという司祭の掟を固く守って、自分の立場が悪くなるかもしれないにもかかわらず、一切を話そうとはしなかった。自殺か他殺か、なぞは深まっていった。
(C) 2015 BiBi Film-barbary Films
物語が進むにつれ、サルス神父と他の人々との会話からなぞは次第に明らかになっていきますが、それは、世界を権力と金力で動かそうとしている人々の価値観と、サルス神父の信じる神の価値観との違いを明らかにしていくものでした。
監督は、サスペンスの形をとりながら、世界を動かすG8という場を舞台にして、今の世界の価値観に警告を鳴らしているようです。
ロシェが死を前にしてサルス神父に告げたかったこと、他の人々との会話で語るサルス神父奥深い言葉の数々、一回だけでなく、2度3度と見てメッセージを深めたい作品です。