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毎日がアルツハイマー ザ・ファイナル ~最期に死ぬ時

2018年7月

 毎日がアルツハイマー ザ・ファイナル

  • 企画・製作・監督・追加撮影:関口祐加
  • 音楽:ガイ・グロス
  • イラスト:三田玲子
  • 出演:関口祐加、関口ひろこ、山田トシ子、マーガレット・マカンス、中矢暁美、ヒューゴ・デ・ウァール、エリカ・プライチェク
  • 配給:リガード

2018年 日本映画 72分


2010年にアルツハイマー型認知症と診断された母親の毎日をホームビデオで撮っていた関口祐加監督が、2014年にその記録をまとめたドキュメンタリー映画「毎日がアルツハイマー2」を発表してから4年、最終章となる「毎日がアルツハイマー ザ・ファイナル ~最期に死ぬ時。」を発表しました。

関口監督は、ときには頑固にときには正常な意識となる母・ひろこさんと一緒に暮らし、息子や妹家族の手を借りながらひろこさんの介護をしてきました。ひろこさん自身が楽しい人であり、関口監督もおおらかに愛情をそそぎひろこさんをサポートしているので、関口家は笑いがたえません。そんな中、関口監督は、股関節の手術のために入院することになりました。手術室に向かいながら、いつまで母親の介護ができるだろうか、さらに自分の死はどのように迎えるのだろうかと思いを深めるようになりました。

手術は無事終わり、リハビリを経て、杖をつきながらも自宅で生活できるにようになった関口監督は退院し、家に帰ります。「ただいま!」大きな声で元気に居間に入っていくと、「おかえり!」とひろこさんが迎えてくれました。抱き合って再会を喜びます。家に帰ったとはいえ、関口監督は自分自身の身の処し方で精一杯。この状態でひろこさんの世話までは無理と思い、ひろこさんを少しの間、お泊まりディサービスに行ってもらうことにしました。そのことを話すと、ひろこさんは猛反発。「わたしが邪魔なのか!」「ここはわたしの家だ!」と怒ってしまいました。姪さんが説得しても聞きません。関口監督はいったんその部屋から出ます。一時間後。再度挑戦。関口監督は、「ただいま~、退院したよ!」と再び居間に入ります。その声を聞いてひろこさんが居間にやってきました。2人はまた抱き合いました。

 祝福
(C)2018 NY GALS FILMS


さらに股関節の2度目の手術のために入院した関口監督は、足の悪性腫瘍の手術のために入院した同室の山田さんと親しくなりました。その後、山田さんは自宅療養をしましたが脳梗塞を起こし、後に緩和ケア病院に入院します。

両足とも人口股関節になり、痛みから解放された関口監督は、この状態をいつまで維持できるだろうかと考えながら、リハビリのために歩くことを始めました。その中で、若いときに住んでいたシドニーで、減量のためにランニングしていたとき一緒に走ったマーガレットさんを思い出します。シドニーを訪れた監督は、73歳のとのときまで一度も入院したことがないほど元気だったマーガレットさんが、10日まえに、小さな腫瘍を取るために入院したことを知ります。これから大きな手術を控えていることも語ってくれました。

山田さんの死の知らせを受け、マーガレットさんとの再会や、ひろこさんが倒れて救急車で運ばれたことがきっかけとなり、このままでは、母親を自宅で介護し続けることが安全なのだろうかと思い始めます。

疑問を抱いたらすぐ行動に移す関口監督は、専門家のもとを尋ねます。死んでいくお年寄りの考えを大切にと言う宅老所「あんき」の経営者・中矢明暁美さん、緩和ケアを理想としながらも安楽死の選択も否定てきないと語るオランダの「ハマートンコート」施設長のヒューゴ博士、自分の命に最期まで向き合い責任を持つことが大切だと説くスイスの「自死幇助」クリニック院長のエリカ博士を訪れ、語り合います。

関口監督が疑問に思うことは、わたしたちも思うことです。具体的にすぐ行動を起こし専門家のもとを訪れる関口監督のドキュメンタリーをとおして、わたしたちはたくさんのヒントをいただきます。


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