お薦めシネマ
体操しようよ
2018年11月
- 監督:菊地健雄
- 脚本:和田清人、春藤忠温
- 音楽:野村卓史
- 出演:草刈正雄、木村文乃、平泉成、きたろう、和久井映見、渡辺大知、徳井優
- 配給:東急レクリエーション
2018年 日本映画 102分
若い時から二枚目スターとして、格好良い姿でさまざまな役を演じていた草刈正雄が、仕事仕事の会社人生を終えて定年を迎え、何をしていいのかわからなくている、なさけない初老を演じています。健康を維持するために毎朝集まる地域の大人たちのラジオ体操を舞台に、毎日の暮らしの中での人と人のかかわりをとおして、第2の人生の道を見いだしていく姿に、人生いくつになっても新しく始めることができると勇気をもらいます。
物語
佐野道太郎(草刈正雄)は、18年前に妻を亡くし、30歳になる一人娘の弓子(木村文乃)が、家事を引き受けて家庭を支えていた。老舗の文具会社で38年間、まじめを徹して会社務めをしてきた道太郎が定年を迎える日がやってきた。やれやれと安堵し、第2の人生を悠々自適に暮らすことを想像していた矢先に、弓子は「このたび佐野家の主婦を引退することにしました。新しい主夫は、お父さん、あなたです」と宣言し、家事からいっさい手を引いてしまった。
突然のできごとに道太郎はとまどった。料理、洗濯、掃除、ゴミ出し、地域とのかかわりり、なかなかうまくいかない。家事に疲れ、酒を飲み始める体たらく。家から解放されて、恋人の薫(渡辺大地)と自分の人生を歩み出したいと画策している弓子は、きつい言葉を父に言いながらも、見守るしかなかった。
ある日、会社の上司で定年生活の先輩である並木(平泉成)が、道太郎の生活を見かねてラジオ体操に誘ってくれる。先輩風をふかせて「俺たちは、これからだ」と意気揚々と言っていた並木だが、突然亡くなってしまう。
(C) 2018「体操しようよ」製作委員会
並木の助言に従い、一日一度は外出することを決めた道太郎は、ラジオ体操で見かけた女性が、公園で海を見つめて立っているのを見かける。道太郎は、何となく彼女の後をつける。女性は喫茶店の主人・のぞみで、ラジオ体操会長の神田(きたろう)、副会長の木島(徳井優)たちおじさんの憧れの的だった。のぞみからラジオ体操のチラシを渡された道太郎は、翌日から、ラジオ体操に通い始めた。
(C) 2018「体操しようよ」製作委員会
父親を支えてきた娘が、父親の定年を機に、父親に反旗を翻すことにより、父親はとまどいながらも第2の人生の生き方を見つけていきます。「いろいろあるけど、いつもの場所に集まって、今日も笑顔で、そこそこ元気に」とラジオ体操に集まる人々。ほのぼのとした大人の父娘の姿、たがいを気遣う地域の人々の交わりを見ながら、肩の荷を下ろしたリラックスした気持ちになりました。一緒にラジオ体操に参加して腕を回したくなる、心温まる作品です。