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サンセット

2019年3月

SUNSET

 サンセット

  • 監督・脚本:ネメシュ・ラースロー
  • 音楽:メリシュ・ラースロー
  • 衣装:ジュルジ・サカーチ
  • 出演:ユリ・ヤカブ、ヴラド・イヴァノフ、エヴェリン・ドボシュ
  • 配給:ファインフィルムズ

2018年 ハンガリー・フランス映画 142分

  • 第91回アカデミー賞外国語映画賞ハンガリー代表
  • 第75階ベネチア国際映画祭国際批評家連盟賞受賞
  • 第43回トロント国際映画祭スペシャル・プレゼンテーション・クロージング作品
  • 第62回ロンドン映画祭オフィシャル・コンペティション部門ノミネート
  • 2018ミシュコルツ国際映画祭審査員賞受賞

何が起きているのかつかめないでいるおびえた目、何かを悟り突き進んでいく何者をも寄せ付けない鋭い目、突然の火花と銃声、喧噪に驚く空に浮いた目。主人公イリスのまなざしが気になります。さらに、主人公の表情を画面いっぱいに捕らえ、または彼女の肩越しに据えられたカメラが、彼女の目の前で起きていることを追っていきます。レースがふんだんに使われている華麗なドレス。これらの特徴が織りなす独特の雰囲気が、日本ではめずらしいハンガリー映画「サンセット」を、他の作品とは違う魅力的な作品に仕上げました。本作は、ハンガリーからアカデミー賞に送る外国映画賞のハンガリー代表となりました。

物語の筋が見えないので、観客は、イリスと同じ歩みで、少しずつ状況を理解していきます。ミステリー作品としても、興味深い展開です。


物語

1913年、ハンガリー。女性たちは長いドレスを身につけ、手袋をし、羽根や造花を飾った大きなひさしの帽子をかぶっていた。当時のヨーロッパの中心であるブダペストの町に、貴族が出入りする高級帽子店があった。店の名は「レイター帽子店」。その店に、質素な身なりをした若い女性(ユリ・ヤカブ)が入ってきた。店のチーフのゼルマ(エヴェリン・ドボシュ)が対応し、いくつかの帽子をかぶせた。しかし彼女は、自分は客ではなく、店員募集の紙を見てやってきたのだと言う。

 サンセット
(C) Laokoon Filmgroup - Playtime Production 2018


ゼルマは彼女を、オーナーのブリル・オスカル(ヴラド・イヴァノフ)のもとに連れていく。イリスは「ここで働くことが夢でした」と、この店で働きたいことを伝える。彼女の名が「レイター・イリス」と聞いたブリルは、おびえたような目になる。「店を取り戻しに来たのか」と問うブリルに、イリスは、「この店で帽子作りをしたい」と答える。イリスが幼いときに亡くなった両親は、この店のオーナーだった。

 サンセット
(C) Laokoon Filmgroup - Playtime Production 2018


ブリルから、前の店に帰れと採用を断られたイリスは、紹介された宿屋でその夜を過ごし、翌朝、駅に向かう馬車に乗る。すると御者のガスパールから、レイター夫妻には男の子がいたと告げられる。イリスは「火事で燃えた家の子ども」と呼ばれ、兄のカルマンは伯爵を殺したのだと知る。

この日はレイター帽子店の30周年で、たくさんのお客たちが集まっていた。イリスも店員たちの列に加わる。兄を探しはじめたイリスの前に、知らない男性が突然現れたり、暴動が起きたち、乱暴をされそうになったり、伯爵夫人が彼女を見つめたりと、不思議な出来事が次々と起きていく。イリスは、レイター帽子店が、両親が運営していたころのような店ではなくなり、ブリルが裏で悪事を働いていることを知る。

 サンセット
(C) Laokoon Filmgroup - Playtime Production 2018


第一次世界大戦前の激動の風が吹き荒れる前のことだった。

 

彼女は何を求めており、また、かかわる人々の力によって、どこへ連れていかれるのか。まったく先が見えないストーリーです。驚くことばかり。最後のイリスの表情が強烈で印象的です。彼女はいったい何者なのか。イリスを演じるユリ・ヤカブの表情が魅力的です。


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