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お薦めシネマ
i —新聞記者ドキュメント—
2019年10月
- 監督:森達也
- 音楽:MARTIN
- 出演:望月衣塑子
- 配給:スターサンズ
2019年 日本映画 113分
- 第32回東京国際映画祭 日本映画スプラッシュ部門作品賞受賞
テレビのニュース番組で、菅官房長官の記者会見の場面がよく出てきます。菅官房長官の前には、テレビの画面には映ってはいませんが、記者クラブに所属している多くの記者やカメラマンがいます。その記者たちの中にいるのが、この映画の主人公、東京新聞社会部記者の望月衣塑子さんです。望月さんが記者としての自らのことを書いた『新聞記者』(角川新書)を原作にした映画「新聞記者」が、2019年の夏公開されました。正義感あふれる社会部記者・吉岡が、内閣情報調査官の杉原とともに、政権が隠そうとしている真実に迫っていきます。報道メディアが権力にどう対峙するのかを問いかけた作品は、予想以上の大ヒットとなりました。
菅官房長官に何度も質問をするので「先ほど、答えたではないですか」と、官房長官や司会者から目をつけられた望月さんは、「納得できる答えをいただいていないので繰り返しています」と食い下がります。そんな望月さん姿を、ドキュメンタリー監督である森達也氏が追いました。
夫の協力を得て2人の子どもを育てながら、赤いキャリーバックを引き、取材資料の入った大きな取材カバンを肩に、ノートを腕に抱えペンを握って走りまわる望月さんは、全国を飛び回っています。辺野古基地移設の赤土問題、伊藤詩織準強姦事件の伊藤詩織さん、森友問題の籠池夫妻、加計学園問題で証言した、当時文科省事務次官だった前川喜平氏へのインタビュー。撮影しているはずの森監督も、ついついインタビューをしてしまいます。
さまざまな問題に果敢に突き進んでいく新聞記者の日常-果敢に突き進んでいくのは望月記者の生き様かもしれませんが-を見ながら、映画のタイトルになっている i =わたしはどう生きるのか、が問いかけられます。菅官房長官から「あなたの質問には答えません!」と言われている彼女の姿を見ていると、新聞記者がいなくなったら政府はやりたい放題になるのではないか、国民はだまされ続けていくのではないかと危険を感じます。望月さんの活動に声援を送りながら、これからも彼女の記事をしっかり追っていきたいと思います。