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前科者
2022年2月
- 監督・脚本・編集:岸善幸
- 音楽:岩代太郎
- 原作:香川まさひと
- 出演:有村架純、磯村勇斗、若葉竜也、マキタスポーツ、石橋静河、リリー・フランキー、森田剛
- 製作:映画「前科者」製作委員会
- 配給:日活
2022年 日本映画 133分
物語
保護司は、犯罪や非行に陥った人の更正を任務としています。「前科者」と呼ばれる彼らがスムーズに地域生活に入り生活できるよう、傍らにいて助ける。責任は重く、その人の根本にかかわる大変な仕事であるにもかかわらず、ボランティアである。
この映画の主人公・保護司の阿川佳代(有村架純)は、コンビニでアルバイトをして生計を立て、両親が亡くなった今は一人でつつましく暮らしている。佳代は若いときの事件をきっかけに、保護司を志した。
仕事場の先輩を刺し殺した罪で刑に服していた工藤誠(森田剛)は、仮釈放され佳代の保護観察の下、小さな自動車修理工場で働いている。更正したいという強い希望を持っており、仕事もまじめで、工場のおやじさんから、保護観察期間が終わったら正社員にしようと思われていた。佳代との月2回の面談も順調で、互いに信頼できるようになっており、保護観察期間が無事終了したら、お祝いに佳代がごちそうすることになっていた。工藤が選んだ店は、工藤が小さいとき、母親や弟と一緒に食事をしたことのある思い出のラーメン屋である。
(C) 2021 香川まさひと・月島冬二・小学館/映画「前科者」製作委員会
ある夜、交番の警察官が拳銃を奪われ、その拳銃で撃たれるという事件が起きた。数日後、区役所の福祉課の職員が、同じ拳銃で射殺される。刑事の鈴木(マキタスポーツ)と滝本(磯村勇斗)は捜査を始めるが、手がかりを見つけることができないでいた。すると第3の事件が起きる。
(C) 2021 香川まさひと・月島冬二・小学館/映画「前科者」製作委員会
佳代と工藤の、最後の面談の日が来た。この面談を終えれば保護観察が終了するという大切な面談だが、工藤は約束の時間を過ぎても現れなかった。心配になった佳代は、工藤の部屋へ駆けつける。
(C) 2021 香川まさひと・月島冬二・小学館/映画「前科者」製作委員会
「前科者」の更正のために力を注ぐという、高い理想を持っている若い保護司が、大きな殺人事件をとおして、保護司という使命を見直し、より深くかかわっていくことになります。悩む人、苦しんでいる人、独りぼっちでいる人、居場所がないと心を震わせている人の傍らに「最近、どうしている?」と聞いてくれる人がいるかどうかは重要なことです。それは、自分が、傷を負った自分自身に尋ねることができるかどうかと同じです。
ヒューマンドラマでありサスペンスでもある「前科者」。俳優たちの名演をご覧ください。