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新刊のご案内
世界と日本と民主主義のありようを考える
- 著者:森一弘
- 定価:本体600円+税
- B6判 並製 64ページ
- ISBN978-4-7896-0640-0 Cコード:C0640
2007年4月29日、日本カトリック学校の理事長・校長などの責任者を前にして、森司教が「世界と日本と民主主義のありようを考える」と題する講演を行い、参加者に感銘を与えました。そこから生まれたのが本書です。
現代社会で、とくに日本において、「民主主義」と言うと、政治理念でさも最高の価値をもっているもののように評価されています。
しかし、著者は、この「民主主義」という制度によって、第二次大戦が起こり、ベトナム戦争が始まり、イラク侵攻が行われた、ということを鋭く指摘しています。
この民主主義の中にひそむ欠陥をあきらかにするならば、カトリック教会の役割が自ずから見えてくるのではないか、と説いています。
一口に「民主主義」と言っても、それぞれの国や地域によって、歩んできた歴史が異なっています。十把一からげに論じることはできません。そこで著者も西欧民主主義国家の場合、アメリカ合衆国の場合、アジア諸国の場合、そして日本の場合と分けて論じています。
日本の場合、戦前の天皇制、国家神道、そして、戦後の象徴天皇、憲法九条の問題などを取り上げながら、著者は次のように言います。
人間の権利のうえに構築された近代国家を評価し、その権利の背後には、根拠となる人間の尊厳、人間の神秘性、価値があるはずですが、「その点を明確にしないままに、一人ひとりは、自分の欲望を満たし、……その果ては、巨大な力をもった国家、文明を構築してしまったのです。国家の問題点も、まさにそこにあります。……これからの国家、世界は、人間の権利のうえだけではなく、こうした人間の深い価値を配慮したうえで、つくられていくべきだと思います」。
「こうした価値に関して、キリスト教には、豊かな光があります。世界が直面している問題がどこにあるかを明確に識別し、それにこたえていく光を提供し、人びとの良心に訴えていく役割が、教会の役割ではないか」と結論づけています。
キリストを信じるすべての人に、ぜひお勧めしたい本です。
女子パウロ会 発行