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なるほど! 社会教説 “しろはた”

第3回:人権(3)権利を尊重する義務

<第1部、第3章、4 人権、c権利と義務>

 「大人はいいなあ、自分の好きなことができて…」。子どもの頃、一度はこんなことを考えたことがあると思います。こんな思いを大人にぶつけると、「自分で責任をとれるようになったら、あなたも好きなことができるんだよ」みたいな返事が返ってきました。そのうちに、権利ということばを知ると、自分も権利を主張したくなりました。しかし、「義務を果たせない者には、権利なんてない」と一蹴されてしました。しかし、権利と義務の関係は、そんなものではありません。義務を果たせることが、権利を保障してもらう条件ではないのです。権利はすべての人にあり、すべての人の権利が保障されなければなりません。そうでなければ、もっとも保障を必要としている人たちの権利が、ないがしろにされてしまいます。人さまのお世話になっている、みんなそうです。人さまに迷惑をかけている、みんなそうです。一人前じゃない、みんなそうです。だからこそ、互いに尊重しあい、人権を保障しあうのです。

 この世界では多くの人の権利の衝突が起きているように見えます。まるで、人権を主張することがけんかの種であるかのようです。しかし多くの場合、優先的に保障されなければならない権利は明らかであるにもかかわらず、優先して保障されるべき人権ほど踏みにじられています。権利と義務の関係はこうです。「その人には権利がある。だから、わたしにはそれを保障する義務がある。」


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