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なるほど! 社会教説 “しろはた”

第14回:家庭の支援

<第2部、第5章、5 家庭に奉仕する社会(252-254)>

 子育てや病人、老人の介護など、まさに家庭は人間のいのちのゆりかごです。そのいのちの現場で、虐待、ネグレクト、介護疲れによる心中事件など、ときに深刻な問題が生じています。事件化してはじめて、その背後にある実体が明らかになるのですが、その結果、世論に同情や怒りが沸き起こります。せっかく実態が明らかになったのですから、人権尊重や連帯、補完性の原理、共通善など基本的理念に立ち返って、わたしたちの社会のあり方を問わなければならないのですが、人々の関心は、その後に続く裁判報道の影響もあってか、個人の責任に向かってしまいます。しかし、それらは決してプライベートの領域にとどまるものではありません。家庭で起こる問題は、じつは社会問題なのだということを、はっきりと認識することが必要です。

 いのちの成長と保護という家庭の営みは、その構成員だけで負いきれるものではありません。また、そこで起こる問題は、いわゆる「健全な家庭」を押し付けことでは解決しません。経済、地域社会、人間関係、また当事者の未熟さも含めて、家庭はさまざま現実的課題を負いながら生きているのです。

 わたしたちは、せっかく社会を構成しているのですから、さまざまなリスクを個人や家庭に押し付けるのではなく、広く共有することにって、心から「おかげさまで」と感謝しあえる社会にしていきたいものです。


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