第15回:子どもの人権
<第2部、第5章、3 d子どもの尊重と権利(244、245)>
人身取引、臓器売買、性的搾取、子ども奴隷、子ども兵士、ストリート・チルドレンなど、世界的には深刻な子どもの権利の侵害が見られます。貧困、経済格差、紛争など、子どもには何の責任もないのに、その犠牲者となるのは、社会的弱者である子どもたちです。
また、この日本でも、子どもの遺棄、ネグレクト(育児放棄)や虐待などの事件報道が後を絶ちません。日本の場合、社会的問題というよりも、個人や夫婦、家庭の問題として取り扱われることがしばしばですが、子どもの権利の保障は、社会的に取り組まなければならない課題です。もっとも弱い存在である子どもたちの人権の保障を、その親だけに押し付けることは、あまりにも荷が重すぎます。親の経済力、精神的成熟度など、子どもの権利を保障する要素が不安定な場合も決して少なくないわけですから、足りない部分は社会が保障してあげなければなりません。
社会と家庭の関係が、なにかぎくしゃくしているように思えます。家庭の主体性を尊重しているようで無関心であったり、家庭の問題に介入するときには、支援ではなくて強権の行使であったりと、まるで社会と家庭が対立しているようです。事件の度に、だれの責任か、だれの過失かに関心が向かい、責任の追及が始まります。その度に、なんて冷たい社会なんだろうと思います。
家庭や保護者や関係機関の力不足を責めるのではなくサポートする、そんなあったかい関係を築いていかなければなりません。