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なるほど! 社会教説 “しろはた”

第22回:経済(2)

<第7章 経済生活、3 個人による創意と企業による創意>

 「こんなことをやってみたい。あんなものがあったらいいな。」人は幼い頃から、その秘められた創造的能力の開花に向けて成長していきます。経済は単なるお金の流れではありません。生産や消費も、生きるためだけの行動ではありません。それは、創造性に富み、夢や希望に満ちた、人間の行為です。子どもの頃、自分で工夫しながら釣り竿を作って魚釣りに出かけました。わたしの場合、とても生産といえるほどのもではありませんが、本業の漁師さんたちも、経験と知恵で仕事をしています。物作りをする人にも、サービスを提供する人にも、創意・工夫は欠かせません。創意・工夫は、結果だけでなく、その過程においても、人間に幸福感を与えてくれます。お金を生み出すために苦しむことが経済活動ではありません。経済活動は、人間が人間らしくあるための人間の行為です。この視点なしに経済を論じても、真の意味での人間の豊かさを論ずることはできません。

 経済活動の基本は、損得ではなく、創意と奉仕と感謝です。創造性を駆使しながら財やサービスを生産し、生産されたものが人々に喜ばれ、感謝されます。そこにお金の流れが生じ、経済活動となるのです。そのお金の流れには、人と人とを結びつけ、みんなで幸せになることを可能にする力があります。わたしたちには、そのような観点から経済を捕らえ直す必要があると思います。


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