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新世紀ルーツへの巡礼
ヤコボ・アルベリオーネ司祭へ
ふたたびアルバ神学校へ
アルバのカテドラル
1908年10月に、アルベリオーネ神父は、アルバの神学校に呼び戻され、教授、霊的指導者、聴罪(ちょうざい)司祭に任命されました。
この任命はみなを驚かせました。わけても最も驚いたのはアルベリオーネ神父自身でした。彼は、何かのまちがいではないかと思い、確かめるために司教のもとに行ったのでした。そして、カノニコ・キエザ神父や、年老いた故郷の主任司祭のところにも行って相談しました。この二人は、言葉や考え方こそ違っていましたが、「司教の声は神のみ声だ、お受けするがよい」と、同じことを勧めたのでした。
アルベリオーネ神父は、自分は神学校で霊的指導の仕事をするより、教会で信徒を世話する方がいいではないかと思っていたのですが、主任司祭は、「あなたには、よりすぐれた霊的賜物が与えられています。……今、向上への一歩をふみ出したのだ……」と答えたのでした。こうしてアルベリオーネ神父は、その時から 1920年までの12年間、神学校での教授と霊的指導を引き受けることになったのでした。
当時のアルバ神学校には、老年の校長のもとに、有能な教授がたくさんいました。若いアルベリオーネ神父は、自分自身に自問しました。「180名もの若者の指導には、老練な他の司祭がむいているのではないだろうか」、また、神学校の教授たちも、「霊的指導にはもっとふさわしい司祭が大勢いるのに、司教はなぜ新司祭を選んだのか。アルベリオーネ神父は若すぎて、経験が乏しく、若い人の賢明な霊的指導ができないのではないか」という疑問をはさむ人もいました。それでもレ司教は代えることはしませんでした。
アルベリオーネ神父は、聖体への信心を高め、学生たちに黙想指導をし、月の第1週に行われていた信心の慣習を継続しました。また、司教と相談しながらよいものを取り入れていきました。
神学生たちは、アルベリオーネ神父の霊的指導を喜び、熱心に受けていました。そのうちの一人は、彼の指導は、いつも心に残るものがあったと言っています。
のちに、パウロ会に入ったボアノ神父は、アルベリオーネ神父との出会いについて私たちのインタビューに答えて次のように言っています。
1919年に神学校に入ったときにプリモ・マエストロ(第1の先生という意味で、パウロ家族のメンバーは彼をこう呼んでいた)とはじめてお会いしました。10月のことでした。神学生と小神学生の霊的指導者をしておられました。
プリモ・マエストロは、当時、霊的指導者でしたが、その年が神学校での最後の年でした。
わたしが彼とはじめて会ったのは、わたしが司祭になるための勉強を続けたくなくなってきていたときで、大きな困難に遭遇していたときでした。とくに霊的な困難で、勉強を続けるかどうか迷っていました。
彼がわたしを呼んで、よい勧めの御母にノベナ(9日間継続して行う祈り)をして、どうしたらいいか勧めをくださるようにお願いしよう、といわれました。
このノベナが終わると、わたしを呼び、「わたしの考えでは、あなたは安心して進んでいい、と思う。この道を続けていい」と言われました。
わたしの疑いは全部吹っ飛んでしまいました。それ以来どんな疑いも戻ってくることはなく、はじめた道をずっと進んできました。「証言」集から
神学校聖堂内さいわいの絵
アルベリオーネ神父は、1908年から神学校で12年間、歴史、教会史、典礼、修徳学、司牧神学、教理神学、倫理神学、社会学、教会美術など多種多様にわたって教えていました。彼の明瞭な教え方や学問の深さには教授たちも神学生たちも、驚いていました。
アルベリオーネ神父の教育法は、理論や知識だけでなく、いつも「知恵と意志と心」を含めた人間全体に対する教育でした。
この人間全体に対する教育、「全人格を発展させ、統合させること」という彼のコンセプトは、「すべて」という言葉で表現され、彼の人生の最後まで貫かれていました。
神への全き愛のために人格全体をあげて、つまり、知性、意志、心、肉体的力をあげて、イエス・キリストに一致しなければならない。
全体というからには、自然、恩恵、使徒職への召命をもすべて尽くしてイエス・キリストに一致しなければならない。
「霊的手記」より
アルベリオーネ神父の、このような活躍にもかかわらず、健康には決して恵まれていたわけではありませんでした。神学校を訪問した一人の人は校長に、「この若い神父は(アルベリオーネ神父)は残念ながらあまり長生きしないだろうね。」と言っていました。
30歳にもならず若いうちに死んでいくと言われたアルベリオーネ神父が、その後、「今世紀の一大驚異」と呼ばれるまでに、今日の使徒としてどのように生き、活動していくのでしょうか。
1--3 ヤコボ・アルベリオーネ司祭へ