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聖書を読もう!
聖書各書のミニ知識
ペトロの手紙 一
「ペトロの手紙1」は、使徒ペトロの名によって小アジアの諸教会あてに書かれた手紙と言えます。この手紙の冒頭に「イエス・キリストの使徒ペトロ」とあり、5章12節には「わたしは、忠実な兄弟と認めているシルワノによって、あなたがたにこのように短く手紙を書き、勧告をし、これこそ神のまことの恵みであることを証ししました」ともあるからです。しかし、近年になって著者について大いに議論されました。しかし、どのような議論も伝統的な考えをくつがえすようなものはまだありません。
この書は非常にすぐれたギリシャ語で書かれてあり、文学的にも高い文書です。このことが著者について疑問視された一つの理由です。この書に引用されている旧約聖書は70人訳聖書から直接とられています。
書かれた時:著者が使徒ペトロであると認められているので、この手紙が書かれたのは彼の殉教した64AD 前となります。
書かれた場所:「共に選ばれてバビロンにいる人々」(5.13)とありますが、これは当時一般的に「バビロン」と読んだローマ、使徒ペトロの殉教前の最後の居住地と言われています。
手紙の受取人:「ポントス、ガラテヤ、カパドキア、アジア、ビティニアの各地に離散して仮住まいをしている選ばれた人たちへ」(1.1)とあります。これらの地は当時小アジアにおけるローマの領土であり、ユダヤ人キリスト者だけでなく、異教から改宗したキリスト者に向けて書かれたと考えられています。
書かれた目的:「短く手紙を書き、勧告をし、これこそ神のまことの恵みであることを証ししました」(5.12)とあるように、迫害やいやがらせ、困難に直面しているキリスト者に勧告と慰めを与えるためです。
ペトロの手紙 一 の構造と内容
この書はとても短いものですが、人が洗礼によっていただく新しいいのちに関しての基本的な教えが書かれています。
基本的な教えとは、
・三位一体と新しいいのちとの関係
・いのちの共同体的な性格(キリストを土台とするキリスト者共同体)
・いのちとキリストの死、復活、栄光との関係
です。
キリストを信じて新しい希望をもちはじめた初代教会が福音の確信を伝えた証がいきいきとしています。キリスト者となることによってもたらされたビジョン、聖性、新生浄化は、キリスト者になる前に生きていた生活には戻ることはできないということを手紙の読者に思いおこさせています。
苦しみに対しての意義、キリストの死による救いに根ざした苦しみの意義は、キリスト者が迫害や困難にたいしてどう受け止め、応えるのかについて説明しています。
また、教会という言葉を用いないで、キリスト者が教会としていきること、終末的な生活態度で生きることを指示しています。
多くの点で使徒パウロの神学思想との関わりがあると言われています。
序(1.1~2) | はじめのあいさつ | 教えの部 | 勧告の部 |
Ⅰ:洗礼とキリスト者の倫理の説教 (1.3~4.11) |
キリストにおけるあたらしいいのちの本質といのちにともなう義務(1.3~2.10) | |
・生き生きとした希望(1.3~12) | ||
・聖なる生活をしよう(1.13~21) | ||
・互いに愛し合おう(1.23~25) | ||
・生きた石、聖なる国民(2.4~10) | ||
キリスト者の日常生活における勤め(2.11~3.12) | ||
・神のしもべとして生きよ(2.11~17) | ||
・召し使いたちへの勧め:キリストを模範としよう(2.18~25) | ||
・夫と妻へ(3.1~7) | ||
・一般的な戒め(3.8~12) | ||
キリスト者と迫害(3.13~4.11) | ||
・正しいことのために苦しむ(3.13~17) | ||
・悪に対するキリストの勝利(3.18~22) | ||
・心の武装をしよう(4.1~6) | ||
・神からのたまものを役立てる(4.7~11) | ||
Ⅱ:実際に迫害に苦しんでいる信徒への勧告 (4.12~5.11) |
・キリストにおける希望となぐさめ(4.12~19) | |
・長老への勧め(5.1~5) | ||
・信仰に固く立とう(5.6~11) | ||
結び(5.12~14) | 結びの挨拶と祝福 |