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新世紀ルーツへの巡礼
3-聖パウロ女子修道会
1)新しい名前:レ・フィリエ・ディ・サンパオロ
スーザの山 |
スーザの町 |
1918年12月、「スーザへ行きなさい。あちらで沈黙のうちに、人知れず、3、4年を過ごしなさい。そうすることによって、他の場所で善いことを行うために、飛躍する力を強めなさい。」とのアルベリオーネ神父の言葉によって、スーザに向けて出発した後、聖パウロの娘たちはどのように過ごしていたのでしょうか。
スーザは、娘たちにとって全く新しい世界でした。彼女たちがスーザに着いたとき、アルプスからの風が吹き下ろしていました。この状況は、慣れない娘たちには珍しかったのです。
家々もアルバとは違っていて、町には電灯もありませんでした。この最初の日、言葉には言い表せない強い印象が彼女たちの心をついたのです。
印刷所! これは彼女たちが心から望み、与えられることを待ちに待っていたものです。初ミサをささげる新司祭のように!
アルベリオーネ神父は、彼女たちがすぐ仕事をはじめることができるように、活字や、植字ケース、印刷機などを整備させるため、1人の有能な若者をすでにスーザに送っていました。
印刷所は娘たちの住まいから少し離れていましたが、小径を通れば何分かのうちに着くほどの距離です。場所は、かなり広く、長年、大きな窓がひとつあっただけで、そこから、印刷所全体にかすかな光が射してくるのでした。彼女たちは、すべてが気に入り、すべては彼女たちの好みにあっていました。印刷所には、2台の印刷機とさまざまなたくさんの活字がありました。
その古い印刷所は、以前の所有者の名前から“ガッティ印刷所”と呼ばれていました。ガッティ氏から買いうけたのです。ここに、教区の所有物であった「ラ・ヴァルスーザ」印刷所の印刷機材が移され、良書出版を手段とする新しい宣教女たちが使用できるようにしました。そこには組版をするための、新聞活字が十分にありました。
スーザのいろいろな修道家族とスーザの住民たちは、最初のときからアルバの娘たちを新しい修道会、良書出版の修道女とその学生とみなしていました。事実、そのとおりでした。
アルベリオーネ神父の娘たちにとって、スーザの体験は、福音の最初の弟子たちにとってのシリアのアンティオキアに似ていました。
パウロの像
使徒言行録にこう書かれています。「アンティオキアで、弟子たちははじめてキリスト者と呼ばれた。」
町の人は、このグループの少女たちが、住まい、印刷所、教会、開設したばかりの書店の間を行き来するのを好感をもって見ていました。しかも、この書店に、彼女たちは使徒パウロの大きな額を飾りました。
人々は、スーザの町で出版活動に尽くす彼女たちの姿をいつも見ていました。そして、彼女たちの使徒聖パウロに対するあつい信心に触れ、だれからともなく彼女たちをピエモンテ州の方言で「レ・フィーエ・ド・サンパーロ(「聖パウロの娘たち」という意味)」と呼ぶようになりました。この名前は、イタリア語でいつの間にか、この新しい団体をあらわす名前「レ・フィリエ・ディ・サンパオロとなり、ここに彼女たちの正式な名称が生まれたのです。
3人ではじまった生活は、はじめ特別な名前を持っていませんでした。アルベリオーネ神父は、フランシスコ・レ司教にあてた報告の中で、彼女たちを単に「娘」と呼び、神学生に、この女性グループの計画を紹介した時には「第二会」と呼んでいます。
「良書出版協力者会誌」の1919年の第1号には、スーザに移転した「女子部」の話があり、同年10月には、「印刷学校の女子部」というタイトルがつけられています。スーザの印刷所は「聖パウロの印刷所」と呼ばれ、後に開かれた書院は「聖パウロの書院」となりました。
このパウロの娘たちは、スーザの町の人々から受け入れられ、人々は彼女たちを見守っていました。彼女たちの住まいはひどいものなのに、当人たちはいっこうに住みやすくしようとする気配がありません。
1921年になって、はじめてそこを訪問したウンベルト・ロッシ司教と、同行した司祭は心がつぶされるような思いを味わい、こう書いています。「シスター・テクラ・メルロと、その修道志願者たちが住んでいた家ほどみすぼらしく、貧しい住まいを見たことがありません」と。
パウロの娘たちは、ごミサだけではなく、他の祈りのためにも、あちこちの教会に行っていました。彼女たちは、すべてに優先して、教区報「ラ・ヴァルスーザ」誌を発行させねば、この新聞をとおして教区が再び教区の人々に語る声をもてるようにと、それだけを願っていたからでした。
◆3--2 パウロの娘のその後
- 1)新しい名前:レ・フィリエ・ディ・サンパオロ
- → レ・フィーエ・ド・サンパーロ(聖パウロの娘たち)
- 2)召命の増加
- 3)火事、そして危険が……
- → スーザでの火事
- 4)アルベリオーネ神父への思い
- 5)うれしいニュース