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聖書を読もう!
聖書各書のミニ知識
民数記
「民数記」は、「モーセ五書」の第四書であり、イスラエルの民がエジプトを出て40年間どこで、どの位の時を過ごしたのか、シナイ山から「約束の地」までのわずか数百キロの道のりなのになぜ40年近くも費やすことになったのかについてを物語っています。
ヘブル語の原典聖書は、一番最初の一句をとってその書物の名がつけられています。「民数記」は、「主が語られた」という名だそうです。現代のヘブル語名は1節の名前ではなく「荒れ野で」という題名がつけられているということです。「民数記」という名は、ギリシャ語に訳された折りに「モーセ五書」の中で「登録された者に関する一書」を意味してつけられた表題です。
(1)シナイ山のふもとでの人口調査、(2)カデシュで40年間の延長の事態がおこり、(3)モアブで改めて人口調査が行われる、ここで現実に約束の地を前にして、その地の分配や相続の仕方が指示され内容になっています。
民数記の構造と内容
第1部:シナイ山のふもとで | 第2部:カデシュからモアブの平原まで | 第3部:約束の地占領に関する準備と指示 |
1.1~10.10 | 10.11~25.18 | 25.19~36.13 |
1) 第1回人口調査、宿営、レビ人 | 1) シナイからホルマにおける敗走まで | 1) 第2回人口調査、土地相続、モーセの後継者 |
1~4章 | 10.11~14.45 | 25.19~27.23 |
2) 清めの規定と宗教的行い | 2) 捧げ物に関する規定、権威者の問題 | 2) 日ごと、および祝祭日の捧げ物、誓願 |
5~6章 | 15~19章 | 28~30章 |
3) 捧げ物と礼拝の制度 | 3) カデシュからモアブの平原まで | 3) 分捕り品の分配、土地の配分 |
7.1~10.10 | 20.1~25.18 | 31~36章 |
「民数記」は、一人の著者によるものというよりは、長期間にわたって内容が増し加えられてきました。物語と律法、規定などが混合して書かれています。それは民数記の書かれた伝承が時代的に異なっている二つのものをを結合した結果であると考えられています。最初の10章は祭司伝承(P伝承)によるものであり、後半は祭司伝承外の伝承によるものです。
「民数記」は、主が「出エジプト記」や「レビ記」で表された契約の深い意味を現実化して荒れ野における神の民の理想像を描き出しているものです。この理想像と同時にイスラエルの民のかたくなさと背きという民の現実をも描き出しています。
長い旅の中、主はモーセをとおして神に語り、指導します。イスラエルの民はモーセという指導者のもとで神の民となっていくことがこの書の中心テーマとなっています。