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新世紀ルーツへの巡礼

目次

神との契約

4)天と地の間に交わされた「約束手形」(1)

アルベリオーネ神父は、当時のあらゆる困難と無理解 ― 反教会主義者、社会主義者からのすさまじい迫害や、権威者の無理解、経済的困難など ― に対して、それまでも何回か主との契約を結んできました。しかし、この度はそれらを一歩踏み込んだ形で契約を結ぶことになります。

当時、彼を苦しめていたのは、使命感 ― 時代が提供するコミュニケーション・メディアを使って福音を宣べる ― を前に、当時まだ15歳にもならない会員たちの無力、無能さを痛感していたことでした。会員のうち20歳以上の人は、軍隊に召集されていたのですから。このようなきびしい状況のもとで彼が考え出したのは、神と契約を結ぶということでした。

アルベリオーネ神父自身は、聖書の中の「神の摂理」に関する黙想によって、信仰を強められていったのでした。

それは、風や嵐が吹いても、食物がなくても、金銭や教養、働き手が欠けていても、すべてが不足していても前進させるものでした。

病弱のため兵役を免除されたために、アルベリオーネ神父のそばにいた唯一の年長者、ジャッカルド神学生は、彼とともにマタイ福音書のみ言葉を深めたのでした。ここには、「神の国と神の義を求めなさい」という条件がつけられています。

「何よりもまず、神の国と神の義を求めなさい。そうすれば、これらのものはみな加えて与えられる。」(マタイ 6.33)

約束手形

アルベリオーネ神父は、契約を福音書の言葉によって結びました。
  契約者は、アルベリオーネ神父とジャッカルド神父。
  価値は、神の国とその義を求めること。
  その意味は、神と共同体の間に交わされた契約。

ある朝、アルベリオーネ神父は、ジャッカルド神父を呼び、彼の前で特別上質の紙に確信に満ちた筆跡で書きはじめたのでした。

「何よりもまず、神の国と神の義を求めます。」

そして、はっきりと自分の名を署名し、それをジャッカルド神父にまわしました。
 ジャッカルド神父もそこに署名しました。

ジャッカルド神父の署名は、証人の意味なのか、保証人としてか、当時まだこのようなことを理解できなかった若い会員を代表していたのでしょうか。

続けてアルベリオーネ神父がもう1度筆とり、霊に動かされてその下に天からの答えとして次の文を書きました。

「これらのものはみな加えて与えられる」

そして、その後に、アルベリオーネ神父は、ラテン語で三位一体の名をもって署名したのです。
  Jesus Christus (イエス・キリスト)
  Pater      (御父)
  Spiritus Sanctus(聖霊)

 と。

この紙は、ロルフォ神父がアルベリオーネ神父の死後、彼の伝記を書くために資料を集めていたときに発見したものです。

天と地の間に、つまり、見えるものと見えないものとの間に交わされた「約束手形」には、署名者の側からの非常に大きな配慮と決意が表れています。このために用いられた紙が、ぜいたくなまでに上質の紙であったことからも伺いしれます。

これがなされた時代は、約束手形は一般的によく用いられていたものでした。ですから、アルベリオーネ神父や、彼に従った少年たちは約束手形には慣れていたと考えられます。

アルベリオーネ神父が書いたこの約束手形は、横17.5cm、縦13cm の大きさであり、裏面の左側には、鉛筆で数が記入されていました(この数字がなにを意味しているかは正確にはわかりません)。

この約束手形を生み出した霊的雰囲気とは、どんなだったのでしょうか。

この約束手形は、一連の考えの実り、神への絶対的信頼という土台の上にされた決意であると考えられます。

その根本的な要素として次のようなものがあります。

  1. 自分が引き受けた使徒的任務の重大さと、最初の出版の使徒が出会っていた困難の大きさの自覚。
  2. 果たさなければならない使命に対して、自分たちの人間的にも霊的にも、無力、無能、不足であるとの自覚。
  3. 使命のために必要な手段と人材を得るために、福音書が提供する条件を果たそうとする固い決意。
  4. 指示された条件を果たすなら、必ずこれらの手段は与えられるという確固とした確信。
  5. 天の銀行から、得たい交換物件の正確な表示。

◆02--4 神との契約


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