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新世紀ルーツへの巡礼
第二次世界大戦
2) 第二次世界大戦におけるパウロ家族
936年6月、アルベリオーネ神父は、教皇の指針にそうことと、使徒職全体をもって全世界に大きく開かれたいとの願いから、聖パウロ会の本部をアルバ修道院からローマ修道院に移しています。
それまでローマで責任をとっていたジャッカルド神父は、アルバに呼び戻されました。その後、1946年までアルバの院長として、精神的にもますますアルベリオーネ神父の傍にあって、アルベリオーネ神父の精神と指針を保ち、それをわからせ、伝えていくミッションを引き受けたのです。この10年間は、ジャッカルド神父の生涯のもっとも活動的な時期でした。
アルバが戦渦の中にあった当時、アルバの修道院院長であったジャッカルド神父は、シスターたちをイタリア人のいる兵舎に送り、かれらの世話をするように配慮したり、パウロ会の司祭は兵士たちのために告解を聞き、兵舎でのミサをささげるようにしました。
ドイツ軍めがけて落とされた連合国側の爆弾の一つが、アルバの聖パウロ修道会の修道院の庭に落ち、まさにアルバは大空襲を受けたのでした。
アルベリオーネ神父はローマに滞在していましたが、戦乱の波は、いやおうなしにローマにも押し寄せていました。連合国軍は北部へ敗走するドイツ軍を追撃し、ローマに迫ったため、ローマは度々爆撃を受けたのです。
アルベリオーネ神父は、このような中で、自分が歩いている数メートル先に爆弾が落ちるというような体験もしました。
イタリアだけでなく、世界に広がっていったパウロ家族の修道院は、どこでもさまざまな危険にさらされていました。
彼は、このような困難のさなかでさえ、神に信頼し、神がはじめられた業は神が必ず完成してくださると信じ、この出来事の中での神のパウロ家族に対するご計画、意味を見いだそうとしていました。
アルベリオーネ神父は、協力者会誌にこう書いています。
もすばらしい事業は、歴史のいちばんむずかしい時期に誕生し、発展してきました。
体験したこの事実こそは、痛ましい状況を前にし、途方にくれて問い続けている人たちへの答えなのです。
この悲惨な時期にこれほどのことができる方は、いったいどなただというのでしょうか。
経済的な面から、またパウロ家族に属している人々の安全に至るまで、あらゆる形で、助けは欠けることがありませんでした。火災、爆撃、追放、強制収容所、戦火の中でのヨーロッパ全土に及ぶ危険な活動、そのどれにおいても、アルベリオーネ神父の息子、娘たちは無事だったのです。
正確な時ははっきりしないものの戦争中のある時点で、アルベリオーネ神父は、神に一つの誓いを立てました。つまり、パウロ家族の全会員が死から守っていただけたなら、平和が訪れた時、ローマの当時総本院のあった敷地に、聖母にささげる大きな教会堂を建造するという誓いでした。
これも含めていつでも、例外なく、彼の聖母への信頼が裏切られることはありませんでした。そしてその聖堂は建築されることになりますが、この“使徒の女王聖堂”については、後にくわしくお知らせしたいと思います。
戦争中、いくつかの定期刊行物は休刊とならざるを得ませんでした。この中のあるものはそのまま永久休刊となり、あるものは戦後、新しい読者の望みにあったものに刷新されて復活しました。1945年12月25日には新しい週刊誌“Il Focolare”が反戦記事雑誌であった“La Domenica Illustrata”に代わって登場しました。
アルベリオーネ神父は、パウロ会創立40周年のおり、歩んできた修道会の歴史を振り返りながら、困難をきわめた二つの世界大戦の体験にも触れて、こう言っています。
外的困難……主はそれらに多く出会うようにはされなかった。
そういうことにふさわしくもなかったし、困難に耐える力もなかったからである。
ただし1914~1918の世界大戦は、本会にとって非常に大きな試練であり、さしもの第二次世界大戦(1939~1945) も、あれに比べれば 5分の1ぐらいにしかあたらない。
まことの困難はいつも内的なものだった。
著述家である司祭、使徒職にまで高められた技術、すべての人と現代的思想にまで浸透するほどの普及術という三つの概念を明確にし、それらに向けて方向づけをすることであった。
人の間では、いつでも誤りが起きるものである。
主はその御あわれみと聖性ゆえに、高ぶる者を常にへりくだらせる。
次回には、パウロの娘の第二次世界大戦までの歩みと、戦争中をどのように生きたかということについてお伝えしたいと思います。
◆6--1 第二次世界大戦
- 1) 第二次世界大戦へ
- 2) 第二次世界大戦におけるパウロ家族
- 3) アジアに向かったパウロの娘たち
- 4) パウロの娘の使命
- 5) 戦時中のエピソード
- 6) ベネディクト会修道女に修道院開放
- 7) 全員、自分たちの場を離れずに