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新世紀ルーツへの巡礼

目次

神への旅

7)シスターテクラ・メルロについて述べる証言3:彼女をみとった医師たちの証言

司教さま

 ルイジ・コワーリ博士

シスターテクラ・メルロのいつもの単純なふるまいと、深いつつしみは、彼女の人格を語っていました。その人格は、まっすぐ目的に進む、あの静かで実際的な話し方にも表れていました。

……全世界に散在する修道院の視察から視察への短い合い間にアルバーノに帰ってこられるたびに、彼女の健康がおとろえていくのを私は見ました。

しかし、シスターテクラ・メルロは、いつもほほえんで、温和で、純朴で、謙遜で、自分のことより他人のことばかりに気をくばっておられました。そしておとろえが要求することもしんぼう強く受け入れておられました。最後の何週間か、もう死が今にも訪れることを知りながら、その気丈さ、魂の平穏、温和な話ぶり、まなざしのやさしさは、けっして消えることがありませんでした。

 イジノ・バルドウッチ博士

シスターテクラ・メルロには、母親だけしかもっていない愛情深く細かい心づかいと、あの洗練された愛の徳が輝いていました。彼女は、すべてのことに関心を寄せていました。

私がたびたび驚いたのは、全世界に広がった修道会の持つ、あれだけ多くの問題の重荷を負っていながら、なお非常に細かいことにも気をくばっておられたことです。たとえば外国に宣教に行く神父たちの身のまわり品を整えてあげるとか、ちょっとしたかぜで寝ているシスターに愛情深く心をつかうとか……。

また、シスターテクラ・メルロの持っておられたもう一つの偉大な徳は、神への深い信仰と信頼でした。いくら物事が悲観的な状態であっても、いつも、そして最後まで「神のみ旨のままに」という言葉と、「神に感謝」という言葉で解決しておられました。

喜びにおいて神に感謝! 困難にあって神に感謝! 不治の病と一番彼女をみじめにわずらわせたこと(すなわち、はっきりした意識をもちながら、話せなかったこと)にたいしても神に感謝!

こんなに神への感謝で満たされていた彼女の生涯は、必ず神への心からの感謝で閉じられたことと思います。そして、後にはすぐれた徳の思い出が残されました。

 ミケレ・ブファノ教授

この病人に会うたびに、私は彼女が深い信心ときわめてしっかりした精神の持ち主で、自分の仕事を続けたいと望みながらも全く神の摂理にゆだねきったシスターだと思いました。つまり、全くすばらしい値うちのある修道者だと確信したのでした。

 ベンヤミーノ・セッラ教授

聖パウロ女子修道会の総長だったシスターテクラ・メルロは、外的な素朴さと深い謙遜の態度とともに、すばらしい考えや、企画、事業を生み出す内的熱心を持っておられました。
彼女の死は、私たちに1人の聖人がどのように死ぬかを見せてくれました。

 ジュゼッペ・レオッタ教授

私もシスターテクラ・メルロに近づく幸いを得ましたが、会うたびに超自然界への熱望、神のみ旨への完全なゆだねを表すあの穏やかさを感じていました。

肉体的には苦しんでいながら、表面はいかにも穏やかでした。自分の苦痛を人には隠し、それをささげる、主にのみ知られたいと望んでおられたのでしょう。

……彼女は非常すぐれた内的生活の人で、一生を宣教活動にささげられました。神のより大いなる栄光のために生き、人びとの魂を生かし、高める力をもつ、あの超自然的精神に生きておられました。そして病気の苦しみも、キリストとともに御父にささげられたのでした。

 ドメニコ・カトウッテイ博士

最後の何カ月か、私はもっとひんぱんにシスターテクラ・メルロのそばにいる機会に恵まれました。病状は進み、からだはだんだん衰えておられました。それを見るのはもちろんつらかったのですが、それはたいていの医者が病人について感じることです。しかしそれ以上に強く、私が感じていたのは、以前は知らなかった彼女のあの精神にたいする驚嘆と、尊敬と、愛情でした。からだがどんどん死に向かっていくのに、精神はますます生き生きとしていきました。

病室からたびたび一緒に大自然のすばらしい美をながめることがありました。そんな時シスターテクラ・メルロは、それに感嘆しながら、美しさと善のために、みんなに代って神に感謝しておられることが感じとれました。シスターテクラ・メルロをとりまく人たちの愛と尊敬もよく感じられましたが、それはシスターテクラ・メルロの周囲の人たちやみんなにたいする愛が招いていたのだと思います。

見ていた私は、死を感じませんでした。考えませんでした。そして、それが訪れたとき、ほとんど気づきもしませんでした。そのとき、そこに天使がいたことを信じています。見ませんでしたが、― 私はそれに値しないから ― でも、感じました。

残されたからだのために告別の辞を読むのは、どうでもいいことです。シスターテクラ・メルロの精神は生きて、今もここにあるのですから。

あなたがたは修道院のなかで働いたり祈ったりしながら、シスターテクラ・メルロの精神がそこにあると感じないでしょうか。耳を傾ければ、沈黙のなかで、あの方の声はひびく、神に感謝!」と。

◆10-3 神への旅


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