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新世紀ルーツへの巡礼

目次

広い原っぱへ、基礎固めの時

2)基礎固めの時

アルバパウロ会建設現場
アルバ パウロ会建設現場

アルベリオーネ神父は、クネオ県知事に建築許可申請を提出しました。その申請書には、建築許可申請にあわせて免税申請も書かれています。

クネオ県知事殿、
 私は、アルバ市の元カリッサーノ・ジョバンニ氏とロランド夫人の所有であった場所に三階の建物(倉庫に使用する地下室もある)を建てたいと希望している者であります。
 この建物は、印刷学校として使用されるという明確な目的をもっており、1階は同校の作業場に、2階・3階は、45人の若者たちを収容して職業教育をほどこすために、その住居と教室に当てられることになっています。
 最初のうちは、若者たちを無料で収容いたしますが、後には、彼らの仕事から上がる収益に参与できるような、なんらかの方法(正式の給料制度ではなく)をとりたいと思っております。
          …… 中 略 ……
 そこで、現在建築企画中のこの家を免税にしていただきたく、県知事閣下に慎んでお願い申しあげます。
 許可があり次第、ただちに建築を開始するつもりでおります。……
アルバ印刷学校長・テオロゴ・ヤコボ・アルベリオーネ。

クネオ県知事から、1920年8月12日付けで、「アルバにある出版印刷学校学校長・テオロゴ・ヤコブ・アルベリオーネ神父から提出された申請に関して、申請趣旨にのっとって実行される事業の執行を許可する」旨が、アルバの市役所にあてられ、返事が届いています。

この印刷学校は、「出版印刷学校」と呼ばれ、移転約1年後には、聖パウロ修道会という名称で呼ばれることになります。

この許可が下りるまでの間、アルベリオーネ神父は、頑丈な建物、広くてしかも使いやすい家を、安価で仕上げるという条件を合わせる難しい研究を続けていました。聖パウロ会の母院(アルバ)には彼の書いた草稿が大切に保管されています。

建築は、ガッロ・ブルノット氏に託され、1階は6月15日までに完成し、全体の建築は8月1日までに終了するということになり、建築可能な季節に入るとすぐに建築ははじめられ、仕事は迅速に進められていきました。

当時、人々は近くのタナロ川から無尽蔵にとれる石材を好んで使っていたので、レンガ建築はぜいたくと考えられていました。しかし、このために、市内ばかりか、不足を補うため近くの村の工場に足を伸ばしたほどでした。

印刷所が大きくなって、印刷機を購入する必要を考えていた時に、1人の業者がアルベリオーネ神父を訪れ、セスト(ミラノ)の大きな印刷所を売りに来ました。その印刷所はそれまで悪質の単行本や雑誌を印刷していたのですが、破産したというのです。彼は早速それをセストまで見に行って、値段も比較的安いと考え、全部まとめて買い取ることにしました。いろいろの型の印刷機12台、ラノタイプ1台、その他印刷機に必要な付属品と、さらに運搬用トラックも1台ありました。印刷機は新しい建物の1階全部を占め、組版が2階になるはずです。

土地代と建築費用、それに印刷所の費用を加えると百万リラ近くなります。当時の百万リラというのは、莫大な数字でした。しかし、アルベリオーネ神父はこれをジャッカルド神父にまかせ、彼自身は他の諸々の必要と取り組んでいました。

彼の望みにしたがって急ピッチに進められている建築、間近にせまった引っ越し、新しい家の中に運びこまなければならない印刷機、新しい修道会の準備とその霊的な容姿を決定する信心の育成、入会を希望している多くの青少年たち、アルバの神学校から転入し神学の勉強を終了している神学生たちの司祭叙階の手続きなどで、アルベリオーネ神父は非常に忙しい毎日でした。

印刷所

●アルベリオーネ神父の協働者たち(会員)の中で、年上の青年たちは、印刷所の采配(さいはい)と指導、少年たちの教育に多忙をきわめていたので、これら多くの事柄にはアルベリオーネ神父自身が対処しなければならないのでした。

●購入した印刷所の移転は、アルベリオーネ神父自身が青年たちを指導し、遭遇する困難の中で彼らを励ました。青年たちは、仲間たちみなが一番腕ききの機械工として認めている1人の青年を選び、彼が仕事をリードしました。組み立てる時に正しい場所に、正確な位置に組み入れるため、分解する機械の各部品に錐(きり)で印を堀りつけました。彼らは外部の人の手を借りることなく、機械を分解し、駅まで運び、貨車に積み込んだのです。犠牲や労苦を惜しまないこの若者たちの働きぶりを見ながら、アルベリオーネ神父は、深い喜びと満足を味わったのでした。

そして、新しい出版印刷学校の中で、再び組み立てられた機械は、青少年たちに使用されることになりました。この組み立てられた機械がはじめから最良のコンディションで運転できたわけではありませんでした。彼らは「この機械で長い間悪い本や雑誌を印刷していたのだから、悪魔が機械にしっぽをはさまれてひっかかっているのだろう。しかし、ここにはもう彼らの仲間はいないのだから、そう長く我慢できず出てゆくだろう」と語りあっていたのでした。

◆2--5 広い原っぱへ、基礎固めの時


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