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新世紀ルーツへの巡礼
アルベリオーネ神父の晩年
3) 付け加えられた「30分のパーソナルな祈り」
晩年の創立者 |
シスターテクラ |
1966年にアルベリオーネ神父は書籍、雑誌の普及のために、人びとと直接接する人たちが人びとの心に触れて宣教を果たす道を見いだすように祈るよう会員たちに指示を与えています。
本や雑誌の普及のために祈ることは、修道院にいる人も、健康にすぐれない人でもだれでもできることであるので「祈りましょう」とシスターイグナチアは勧めています。
書院や家庭訪問の使徒職で直接に普及に携わる会員には、受け手の環境、状況、必要などを考慮し、普及センターからの援助やことに神からの援助をよく使うようにと指示しています。「神の援助は、人びとに対して注意深く、誠実な志をもち、頭を使ってわけても愛をもって待つなら、必ず神からの答えやインスピレーション、招きを通して与えられるものです」と言っています。
1966年3月に行われた年の黙想の中で創立者は、ミサ、30分の黙想、1時間の聖体訪問の今までの祈りに加えて「30分のパーソナルな祈り」を付け加えるよう勧めました。この時期は、使徒職の活動も活発になっていた時であり、また修道会は使徒職からくる大きな困難、ことに雑誌”Cosi'”に関する経済的な困難に直面している時で、創立者はこのような出来事は祈りが不足しているのではないかと感じ、この提案をしたのでした。
1962年に第2バチカン公会議に出席していたアルベリオーネ神父はコミュニケーション分野で働く人の祈りの必要に関して、内省しています。
私は反省した。この私たちの会員は、書院や映画普及事務所や種々の活動の中にあって、危険に冒されないための充分な祈りを養い育ててきたか?
繰り返し言うが、私は反省した。この使徒職に働く人を救い、悪から守って聖性に導き、この技術手段をもっていっそう善業の実を得ることのできだけの充分な祈りが、会憲に定められているか?
こう語っていた創立者は主と親しく語る時、交わりの時として「30分のパーソナルな祈り」を付け加えることを提案したのです。
パウロ家族創立にあたり、想像に絶する様々な困難にあいましたが、アルベリオーネ神父は、そのつど主のみ前で自らの行動を糾明し、いっそう祈りの中に入り、また会員へも祈りの中に導いていました。
創立者のこの提案を受け、シスターイグナチアは、すぐに全会員にその旨を知らせ、実行に移すように勧めています。
彼女は4月に「私たちのこと」というタイトルでの回状の中で会員にいくつかの事柄を取り上げながら、この「30分のパーソナルな祈り」についても述べています。
「創立者が30分よけいに祈りの時間をお与えくださったのは、私たちの聖化のためだけではなく、普及の部門を改良するためでもあることを記憶しましょう。
主を本当に愛する人にとって、この30分の時は貴重なもので、よく使うべきです。
この時間に個人的な悩みや困難を主に打ち明けるのは悪いことだとは言いませんが、それ以上に私たちの魂の聖化について主と語り合う、その上キリスト者、修道者、パオリーネ(パウロの者という意味で、女子パウロ会会員のことを指す)としての私たちの使命から、他の人びとの聖化についても語り合うこと」と。
同年のクリスマスメッセージの中で、シスターイグナチアは、この「30分のパーソナルな祈り」について再度触れます。
今年、ほとんどの会員は創立者が勧めた30分のパーソナルな祈りをしました。みながアルベリオーネ神父のあの勧めを、心から本当に自分の魂の要求にかなうもののように、受け入れました。30分の神との対話は、本当に修道会にとって有益だと思います。
神との語り合い、神との交わりに慣れるにつれ、私たちの任務、責任、心配、生活のすべてが新しい光で照らされるでしょう。……神と人びととに奉仕するため私たちが必要とするあの力と穏やかさ、忠実さをその泉から汲み取れるこの可能性をよく利用するようにと勧めます。自分自身のためばかりではなく、使徒職のためにも。
総長シスターイグナチアは、「創立者は使徒職の大切な部門である普及に力をいれるように特に勧められました」とも述べています。
そして、会員にこうインフォメーションをしています。
本部の使徒職に一つの進歩がみられます。それは外国の修道院のために「出版部」と協力者会の組織化です。
使徒職活動のために、信徒の役割が強調されています。彼らを動かしているこの時代に、私たちが使徒職の種々の企画に彼らの協力を求めようとするのは当然のことです。創立者はかねてからこれを勧めておられました。
この出版部と協力者の組織化は、いたるところにそのよい効果をもたらすにちがいありません。
こう述べた後、このために祈るように、本部からの指針に考えつく方法や勧められる方法で協力するようにとも勧めています。いろいろの企画を実現するためには使徒職の協力がいるので信仰と従順の中で進歩していこうと勧めています。
ここにアルベリオーネ神父の語る言葉を紹介しましょう。
□ 社会的コミュニケーションの使徒職には制作者、技術者、普及者の強力なグループが必要です。みながよく協調していかなければなりません。それは、一つの芸術作品を表現する芸術家たちが息を合わせていくのと同じです。どれほど多くの意志やエネルギーがばらばらで無秩序であるために、単なる望みや計画にそれが費やされ、失敗に終わることでしょう。みながいっしょになって、霊と真理のパンをつくっていかなければなりません。
□ 聖体訪問に行って、普及にあたるシスターは何を主に申しあげるのでしょうか。「きょう見てきたことや聞いたことで頭がいっぱいで、心を集中できません。きょう会った人たちや、聞いたこと、よいことやよくないことが頭に浮かんできますから……。」では、頭に浮かんでくることを師イエスに話しなさい。「この人たちは私のものである以上にあなたのものではありませんか。私は種をまけるだけまいてきました。でも、種をまく者も、水を注ぐ者も、ものの数ではありません。成長させるお方こそ主役です。」つまり、恵みを与える方こそ主役です。イエスにそう申しあげなさい。きょう会った人びとが浮かんできて、気が散るというのですか。それは、心の散漫ではなく、インスピレーションです。あなた方に善意がある証拠です。神からインスピレーションを受けているのを、気が散ったと思いこむ人がよくいます。
□ 使命は神から託されたのだという信仰がないと、私たちの任務の広大さを考えて、押しつぶされそうに感じるでしょう。ですから、使命を果たす第1の手段は、祈り、深い信仰からわき出る祈りなのです。
◆10-4 アルベリオーネ神父の晩年
- 1) 80歳を迎えて
- 2) 聖パウロ女子修道会創立50周年を迎えて
- 3) 付け加えられた「30分のパーソナルな祈り」
- 4) 変化と刷新の波の中で1
- 5) 変化と刷新の波の中で2
- 6) 1969年:特別総会の年(聖パウロ女子修道会)
- 7) シスターテクラ・メルロの列福調査開始